SCRAP Vol.100より [BACK]

SnowLand

 その頃、僕達は夢と現実のギャップに戸惑う年代だった。そんな仲間達の中に、夢を現実のものにしようとしていた奴がいた。
 彼はポケットに少しの金を詰めて、その村にやって来た。小さなロッジを建て、ペンションをはじめた。少しの失敗や挫折はあっただろうが、やがて経営は軌道に乗り、人が集うようになった。
 あれから十数年が経った。仲間達はそれぞれの人生を歩み、もう夜中まで語り合うことも無くなった。
 彼の宿を久しぶりに訪れた。彼は、相変わらずの人懐こい顔で向かえてくれた。「最近Tとは会ったかい?」友達の、風の噂を語らいながら夜は深けていった。
 雪の便りが届く頃、また彼のペンションを訪れることにしよう。そして、雪でキーンと冷やした美味いビールをグビッとやろうと思う。


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